つい最近、実際にあった話です。
創業から百年を優に超える、誰もが名前を知る老舗メーカーから、ある輸入ブランドのサイトリニューアルを依頼されました。
そのブランドは、市場調査をすれば10億円規模のポテンシャルが見込める商材でした。歴史も、品質も、他社が逆立ちしても手に入らない「本物の証拠」も揃っている。それなのに、年間売上は1,000万円に届いていませんでした。
サイトは、Googleで検索しても出てきませんでした。ブランド名で探して、ようやく3ページ目の最後に見つかる状態です。
私たちは、システム構築だけの依頼だったこの案件を、市場調査と3C分析からやり直しました。4つのターゲット市場を特定し、それぞれに向けた戦略を設計し、サイトを作り直し、AI検索(GEO)対策のコラムを300本納品しました。
結果、納品からわずか4日で、検索順位は圏外から4位に上がりました。
そして、売上は1円も増えませんでした。
CONTENTS
1.何が起きたのか
制作会社の言い訳に聞こえるかもしれません。ですから、事実だけを並べます。
設計した4つのターゲット市場に対して、施策は一つも実行されませんでした。理由は「表記の調整が必要だから」「ギフト用の資材がないから」。どれも、やる気があれば数週間で解決できることです。
納品したコラム300本は、3ヶ月経っても掲載されませんでした。「自社が出すものだから(社内確認が要る)」。検索順位を上げるためのコンテンツが、社内確認という理由で眠り続けました。
そもそも契約に至るまでに、8ヶ月かかっていました。売上を伸ばすにはECサイトとの連動が不可欠であることは、誰の目にも明白でした。しかし予算は部署ごとに分断されており、部署をまたぐ提案は、決裁権を持つ役員のところで止まり続けました。最終的にEC連動は「別部署の管轄なので」という理由で削られました。
検索4位は、私たちの仕事でした。売上ゼロは、発注側の組織の仕事でした。
2.HPは「成果を出す装置」ではない
30年、1,500社以上のサイトを作ってきて、確信していることがあります。
HPは、成果を出す装置ではありません。経営の実行力を増幅する装置です。
実行力が100の会社が使えば、100を何倍にもします。実行力がゼロの会社が使えば、どれだけ優れた戦略と技術を注ぎ込んでも、答えはゼロのままです。掛け算だからです。
この案件で、制作側の変数はすべて最大値でした。市場分析、ターゲット設計、サイト構築、検索対策。数字がそれを証明しています。それでも売上が動かなかったのは、成果を生む最後の工程──掲載する、施策を打つ、部署を連動させる──が、発注側の組織にしか実行できないからです。
そこがゼロなら、答えはゼロです。百年の歴史があっても、です。
3.制作会社を選ぶ前に、自社に問うべき3つの質問
だから、これからHPのリニューアルを考えている経営者の方には、制作会社を比較する前に、自社に3つの質問をしてほしいのです。
1. このプロジェクトの予算は、一つの意思で決裁できますか。
部署ごとに予算が分かれ、提案のたびに複数の承認が要る体制なら、戦略は稟議の途中で必ず削られます。削られた戦略は、もう戦略ではありません。
2. 納品されたものを、翌週には公開できますか。
コンテンツを何ヶ月も寝かせる社内確認フローがあるなら、どんな検索対策も効きません。検索エンジンもAIも、公開されていないものは評価できないからです。
3. 提案を却下する人と、成果に責任を持つ人は、同一人物ですか。
却下する権限だけあって成果責任のない人がいる組織では、リスクのある提案(つまり、効く提案)はすべて潰されてしまいます。
この3つに一つでも「ノー」があるなら、どの制作会社に頼んでも、結果はおそらく同じです。
4.鏡を磨いても、顔は変わらない
HPは、会社を映す鏡です。
私たちができるのは、鏡を限界まで磨くことです。曇りを取り、歪みをなくし、会社の持つ価値が最も美しく映るように仕上げることはできます。検索4位は、鏡が磨けている証拠です。
しかし、鏡を磨いても、映る顔は変わりません。
逆に言えば、実行する意思のある会社にとって、磨かれた鏡ほど強い武器はありません。私たちが本当に仕事をしたいのは、そういう会社です。だから私たちは、制作の前に事業戦略から聞きます。40の質問をします。答えられない質問があっても構いません。一緒に答えを作ればいいからです。
ただ、作った答えを実行するのは、あなたの会社です。
その覚悟がある方は、ぜひ一度ご相談ください。鏡は、こちらで磨きます。
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