地域工務店
顧客の約90%が隣接する摂津市の住民だった地場工務店に対し、一般的な住宅サイトではなく、「摂津市民だけのための地域情報ポータルサイト」を企画・構築。 全国や大阪府全域を狙うのではなく、対象地域を摂津市だけに徹底的に絞り込み、地元住民に本当に役立つ情報を継続して発信することでアクセスを集め、年間100棟の戸建て販売につながりました。
市場を広げれば、競合も増えます。 この事例では反対に、市場を極端に狭めることで、競争の少ない市場をつくりました。
課題
吹田市にあった富士工務店へのヒアリングで、非常に重要な事実が分かりました。それは、同社の顧客の約90%が、隣接する摂津市の住民だったことです。
そこで、一般的な工務店ホームページを改善したり、広い地域を対象に広告を増やしたりするのではなく、
「なぜ顧客の90%が摂津市民なのか」
「その摂津市民との接点を、もっと強くできないか」
というところから企画を考えました。
調査
当時の地域ポータルサイトを調査すると、その多くはYahoo!のように全国を対象としたものや、都道府県、市全域など、比較的大きなマーケットを対象としていました。
しかし、市場を広くすればするほど競合サイトも増え、掲載される情報も一般的になります。
大阪府民には役立つ情報でも、摂津市民の日常生活に本当に必要な情報とは限りません。
反対に、「摂津市民だけに役立てばよい」
と考えれば、まったく違う情報サイトを作ることができます。
そこで、広い市場で既存のポータルサイトと競争するのではなく、対象を摂津市民だけに限定する方針を立てました。
アンドワンの判断
企画したのは、住宅を売るためのホームページではありません。
摂津市民専用の地域情報ポータルサイトです。
隣町の守口市民には必要がなくても構わない。
大阪府全体からアクセスされる必要もない。
摂津市で生活する人にとって、本当に役に立つ細かな地域情報だけを集める。
つまり、「広く浅い情報」ではなく、「狭く深い情報」
で地域内での圧倒的な情報量をつくる戦略です。
全国・大阪府・北摂という大きな市場で競争するのではなく、「摂津市民」という小さな市場を自ら設定し、その小さな市場の中で最も役立つ情報サイトを目指しました。
企画・実装
コンテンツを作るために、特別な取材部隊を新たに作ったわけではありません。 工務店の営業担当者は、もともと毎日のように摂津市へ営業に出向いていました。 そこで、営業活動の中で見つけた地域情報そのものをコンテンツにしました。
たとえば、
- 営業途中に立ち寄った地元の喫茶店
- 地域住民が利用している小さな店舗
- 昔から営業している時計店
- 地元ならではのサービスや施設
- 摂津市で暮らしているからこそ必要になる生活情報
などです。
一見、住宅販売とは直接関係のない情報も積極的に掲載しました。
たとえば、インターネットで腕時計を購入しても、時計のバンド調整は自分では難しい場合があります。
そんなとき、
「摂津市のどこに持っていけば調整してもらえるのか」
という情報は、全国の人にはほとんど価値がなくても、その地域で暮らす人にとっては非常に実用的です。
こうした検索ボリュームだけでは測れない、地元住民の生活に密着した情報を継続的に蓄積していきました。
超地域特化型の情報設計
一般的な地域ポータルサイトが対象地域を広げるのとは反対に、対象を摂津市だけに限定。「より多くの人に見てもらう」のではなく、「摂津市民に最も見てもらえるサイトにする」という設計にしました。
営業活動そのものをコンテンツ化
営業担当者は日常的に摂津市内を回っています。 そこで見つけた店舗、サービス、生活情報をWebコンテンツとして蓄積。 新たに大きな取材コストを発生させるのではなく、既存の営業活動とWeb運営を一体化しました。
住宅を直接売らない集客設計
サイトを訪れる入口を「新築住宅」だけに限定しませんでした。喫茶店、時計店、地域サービスなど、摂津市民が日常的に必要とする情報から接点を作ります。 まず、「摂津市の情報を見るならこのサイト」 という関係を作り、その運営主体として富士工務店を認知してもらう。 住宅購入という数年・数十年に一度の需要が発生する前から、地域住民との接点を持つ設計です。
地域検索での圧倒的な情報量
摂津市に関する細かな情報を継続して蓄積したことで、摂津市内からのアクセスが集中。地域に関連するオーガニック検索でも上位表示されるページが増え、サイト全体へのアクセスが拡大していきました。
大手ポータルサイトと同じ市場でSEO競争をするのではなく、検索市場そのものを「摂津市」という小さな単位まで絞り込んだことが重要なポイントです。
成果・変化
地域情報が蓄積されるにつれて、摂津市民からのアクセスが集中するようになり、地域検索でも強いサイトへ成長しました。その結果、この地域ポータルサイトを起点とした工務店の戸建て販売は、年間100棟を達成しました。
住宅情報だけを大量に掲載した結果ではありません。 住宅を購入する前から地域住民との接点を持ち続ける仕組みを作ったことが、最終的な住宅販売につながっています。
この事例から分かること
通常、Webサイトの集客を考えると、
「もっと広い地域へ」、
「もっと多くのアクセスを」、
「もっと大きな検索キーワードを」
と市場を広げようとします。
しかし、市場を広げれば広げるほど競合も増え、レッドオーシャンになります。
この事例では、その反対を行いました。
顧客の90%が摂津市民であるなら、摂津市だけを狙えばよい。
さらに、
住宅を探している人だけではなく、摂津市で生活している人すべてとの接点を作る。
市場を広げるのではなく、徹底的に狭める。
そして、その小さな市場の中で、他では得られない圧倒的に細かな情報を提供する。
これによって、大手企業や大規模ポータルサイトと正面から競争する必要がなくなります。
アンドワンでは、最初から「工務店だから住宅サイトを作る」とは考えません。
- 実際の顧客は誰なのか。
- なぜその顧客が選んでいるのか。
- どこに競争の少ない市場があるのか。
- 顧客との接点をどの段階から作れるのか。
をリサーチし、目的を達成するために必要なWebの形そのものから企画します。
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